【生前整理は悔いの少ない幸せな人生を送るための生き活!】
生前整理アドバイザー:矢崎 邦子
生前整理について学ぼうと思ったきっかけは、父の認知症です。父が認知症を発症したのは2007年、78歳の時でした。
父は、「認知症にだけはなりたくないなあ」が口癖。私自身も、「まさか父が認知症になるなんて…!」と、とてもショックを受けました。
やがて、過去の記憶が薄れ、家族のことを少しずつ忘れていく父を側で見ているうちに、「もし自分も認知症になってしまったらどうしよう?」と不安になっていたところ、2014年4月に生前整理に出会い、学んでみたいと思うように。
「生前整理は悔いの少ない幸せな人生を送るための生き活!」という大津代表の言葉が胸に刺さり、2級認定講座を受講しました。
認知症になってしまった父は、家族のことをどんどん忘れていきます。
私は、家族で築き上げてきた歴史を少しでも「思い出して欲しい!」「覚えていて欲しい!」「忘れないで欲しい!」と思い、母の協力を得ながら、父のベストショットアルバムを作りました。
認知症が進んでいた父からはもう、過去の写真に込められた想い出を聞き出すことはできませんでしたが、母が、祖母や父の兄弟から聞いていた父の幼少期のエピソードを話してくれたため、これまで知らなかった父の姿を知ることができ、新鮮でした。
完成した父のベストショットアルバムは、父とのコミュニケーションツールとして大活躍。
アルバムはいつも父の傍にあり、やむを得ず父が施設のお世話になることになったときも、一緒に持っていきました。父の笑顔を見られるのが嬉しくて、施設に会いに行く度、アルバムを見ながら想い出を語るのが日課となりました。
その時間は、たとえどんな状況になっても、家族の絆はいつでも繋がっているということを感じられる、かけがえのないものでした。
アルバムは、父の施設長さんをはじめ、担当スタッフの方々にも見ていただきました。父のことを知っていただいたことで、より温かい介護を受けることができたように思います。
2016年6月、父は肺炎のため、87歳で亡くなりましたが、アルバムを作って本当に良かった。父が精一杯生きてきた証を、形に残すことができたと思います。
父のアルバムが完成したあと、母とともに、母のベストショットアルバムも作りました。
父とは一緒にできなかった生前整理を、母とはおこなうことができ、母の想いや希望は、しっかりとエターナルノートに記入。
生前整理ができて、母もほっとしてくれているようです。
生前整理を学び、自分の人生を振り返ったことで、一番感じたのは両親への感謝。そして、これからの人生の目標を見い出すことができました。
また、大切な人への想いや希望を自分の言葉で伝えること、残すことが、どれほど大切なことなのかを痛感しました。
大切な人との別れは、いつか必ずやってきます。
「いつかやろう」と思っていても、自分の生前整理や親の生前整理が、突然できなくなってしまうことだってあります。
生前整理は、元気だからこそできること。「悔いの少ない幸せな人生を送るための生き活」です。
生前整理を始めるのに年齢は関係ありません。一日も早く、一人でも多くの方に学んで、実行していただきたいです。