【「生前整理」は明るい未来】
生前整理アドバイザー:八尾 ちなみ
私が生前整理アドバイザー認定指導員になった理由は、2つあります。
1つめは、両親の移住と自分の引っ越しです。
2015年10月、両親が、60年以上住んでいた故郷の長崎を離れ、一人娘が住む大阪へと移住してきました。
実家には、両親の物はもちろん、亡くなった祖父母のもの、そのまた前の曾祖父母の物までありました。
先祖代々の物は、使うか使わないかという基準ではなく、「何となく捨てられない」という物が山のようにありました。
ところが、大阪への移住となると、その物たち全てを持ってくるわけにはいきません。
そこで、両親は決意しました。
「今、必要な物を厳選しよう」「身軽になって新しい土地へ行こう」
2人は、その言葉を実行。
我が親ながら、あっぱれ!お見事だと感心しました。
ある意味、生前整理をして長崎から大阪へ来てくれたんです。
娘としては、両親に万が一のときが来ても、遺品整理の手間がかなり軽減され、心身ともに身軽になり、新しい生き方にシフトチェンジした両親の姿が誇らしくもありました。
さらに、2017年3月に、私も引越ししました。
以前住んでいた所の、半分の広さのマンションへの引越しです。
「今、必要な物を厳選しよう」「身軽になって新しい人生を歩もう」
まさに私も、両親と同じことを思ったのです。
物を整理しながら、心を整理していきました。人生を、より豊かに生きるために。
そして2つめの理由は、私の難病患者としての経験です。
潰瘍性大腸炎になって、10回以上の入院を経験してきました。
潰瘍性大腸炎は、今の医学では治ることのない病気です。
痛み、辛さ、歯がゆさ、情けなさ、悲しさ、悔しさ…。一言では言い表せない、様々な感情と向き合ってきました。
でも、それはすべて過去のこと。
私は今を生きているんです。そして、未来を生きていくのです。
今日、命あることがどれだけ奇跡のようなことか、身を持って経験してきました。
そんな2つの大きな経験を経て、ある日、ひとつの新聞記事が目に入りました。
生前整理アドバイザー2級講座の紹介でした。
すでに両親は生前整理を行っていて、そして私は難病の経験から「生前整理」という言葉が気になっていました。
「亡くなった後のことを考える終活」ではなくて、「人生の棚卸をしてより良く生きる生前整理」は、私にとって明るい未来に見えたのです。
私は日程を調整して、カルチャースクールで、生前整理アドバイザー2級講座を受講しました。
それはまさに、今までの私の人生の答え合わせでした。
両親が先を見据えて決断したこと。
そして、難病になりながらも見えた私の未来。
生前整理の講座では、幼少期から振り返り、人生の棚卸を行います。
そこで見えてきたことから、「私が大切にしてきたことが間違っていなかった」「ブレない生き方ができていた」と再確認ができ、私自身の自信につながりました。
未来に目を向けることで、この先の生き方が見えて来るのです。
人は必ず、人生のゴールを迎えます。
私はそのときに、できるだけ悔いの少ない、生ききったと言える人生を歩みたい。
元々、20年間ブライダルの司会者として、2,000組以上の婚礼司会をさせていただき、その数だけのご両家に出会わせていただいてきました。
それぞれにドラマがあり、家族だからこそ愛情を感じる場面もあれば、そうでない場合もあります。
家族だからこその愛情を感じるためには、過去の物に囲まれて生きるのではなく、今の自分に相応しい物に囲まれて毎日を過ごすことが重要です。
そして家族をはじめ、大切な人たちに、思い残すこと無く自分の想いを伝えなければならない。
そう思うようになりました。
生前整理は、生きることを前提に「物、心、情報」を整理し、幸せなエンディングを迎えること。私はこれからも、明るい未来である「生前整理」を伝えていきます。