生前整理アドバイザーのストーリー

【後悔の少ない人生の選択をすることができて良かった】

生前整理アドバイザー:徳山 弘美

「こっちは大丈夫だから」。

母のその言葉に甘えて、父の世話を母に任せきりにしていました。大病を患ってから障害を持った母が、デイサービスなどを利用しながら、パーキンソン病の父を自宅で介護するのは、どんなに大変なことだったか…。

父は、ある日突然自宅で倒れ、救急車で搬送後、病院で脳梗塞を発症し、左半身が動かなくなりました。回復する見込みが無く、車いすの生活になるので自宅では介護ができないため、施設に入ることが決まりました。

私の家は実家から車で2時間以上かかる距離でしたが、一人娘の私は、施設探しやケアマネジャーとのやりとりなど、できるだけサポートしました。

父がパーキンソン病であることが判明してから間もなくして、中学生の次女が重度の脊椎側彎症ということがわかりました。大学病院に通院し、体の歪みが進行しないためのコルセットを作り、思春期の娘が、お風呂以外装具(コルセット)着用の生活になりました。腰痛や肩こりの症状も辛そうで、和らげるためのマッサージのため整体にも通っていました。娘のケアも、もちろん私の役割。

母には父が亡くなるまで、娘のことを言えずに黙っていました。

そして、同じ市内に住んでいた義父は認知症に…。しかし、義理の姉と義母が私に負担をかけないように世話をしてくれて、とても感謝しています。

その頃私は、地域情報誌やグルメ本を扱う出版社で、カルチャー事業部を担当。新規事業で常に新しい試みを探し、講座を開催することが楽しく、とても仕事にやりがいを感じていました。

しかし、父が入所してからも、ことあるごとに母から入る電話や相談、3か月ごとの施設の更新や新しい施設探し、高校受験と大学受験を迎える娘たちの世話などで、常に時間に追われている生活。気持ちに余裕がなく、「これ以上状況が悪くならないで!」と願うばかりの日々。仕事をしていても、携帯電話の着信履歴を気にしながら、心も体も休まることがなかったように思います。

次女の体調管理、父と母の見守り、仕事…。
頼りたい主人は、単身赴任中。
当時の私は頑張っていたと思います。

そんな頃、仕事で新しい企画を探しているときに、偶然見つけた「生前整理アドバイザー」の資格講座。「これはニーズがあるのかもしれない」と興味を持ち、受講しました。

「生前整理アドバイザー」の資格講座は、心の整理ができる時間でした。過去を振り返り、現在と向き合い、自分のこれからを考える。
当時の私にとって、たくさんの気付きをもらえた、とても必要な時間だったのです。

母は自分のことより、常に私の家族の心配をして、愛情を注いでくれていたこと。
それを当たり前に感じて、「ありがとう」の言葉も伝えていないこと。
そして、私が一番大切にしたいのは、家族と自分が笑顔でいられるということ。
自分自身の気持ちや、家族の大切さに、改めて気付かされました。

それから半年後、家族を見守りながら、生前整理を普及する講師として、再スタートを切りました。

娘たちは希望の学校に入学でき、新しい環境を楽しんでいるようです。
私は以前より母と一緒に過ごす時間を持てるようになり、親孝行ができている嬉しさも感じています。

今は、生前整理に出合い、自分自身の生前整理を実践したことで、「後悔の少ない人生の選択をすることができて良かった!」と心から思っています。

全て乗り越えられたのも、生前整理と出合い、自分のやるべきことがわかったから。
しっかり前を向いて生きることの大切さがわかったからだと思います。

義理の父は2017年1月、父は2017年9月に亡くなりました。この仕事をしていたからこそ、最期にしっかりとお別れができたように思います。
生前整理アドバイザーの仕事は、父からの贈りものだと思っています。

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