【生前整理は、自分もまわりも幸せにする】
生前整理アドバイザー:金山 佳子
私は義両親2人の介護をしながら、フルタイムで働いていました。
リフォーム会社の広報として、CM作成やショールームの無料貸出の面接を担当していたのですが、そこへ2016年12月、「生前整理の講座をしたい」と、生前整理指導員の沖田由紀子さんが来られたのです。私は初めて聞く「生前整理」という言葉に衝撃を受け、「すぐにでも講座を受けたい!」と思い、自宅にお招きして受講しました。
その頃、義父が入院し、「今後、延命治療をするか自然に死を迎えるか」と医師から訊ねられました。
6人の義兄弟たちは、親に対してそれぞれの想いがあります。長男である私の主人と長女は反対でしたが、他の4人の兄弟の想いを汲み取り、延命治療を続けることになりました。
その結果、義父は褥瘡から足切断という、過酷・激痛の中、人生を終えたのです。
私は2年経った今でも、心にしこりが残っています。
「生前に自分の最終章をどうするのかを決めておけば、家族は苦しい決断をしなくても済むのではないか」と、生前整理の大切さが身に染みました。
当時は、勤めていた会社の社風にも、居心地の悪さを感じていました。「私でなければできない仕事があるのでは?」と悩み、人生の踊り場にいた私にとって「生前整理講座」は、この先の生き方を考えさせてくれるいいチャンスでした。やりたいこと・やり残したことを気が付かせてくれたのです。
「生前整理は人生の究極のお片づけである」ということに感銘を受け、「人生をもっとイキイキさせるために、生き活がしたい!」と思い立ち、定年退職まであと7年でしたが、「自分の人生をより良く生きたい」と思い、退職を決めました。
ものに囲まれて幸せな時代は、終わったと実感しています。
83歳の父、77歳の母は、ものを捨てることができず、たくさんのものの中で窮屈そうに暮らしていました。
しかし、生前整理を学んだ私が一緒に片付けをすることで、不要なものを引き取ってもらうことができ、現在は広い空間でのびのび元気に暮らしています。特に母は、生前整理をしたことで、ボランティアや日舞などやりたいことが見つかり、「生き活」を楽しむようになりました。
現在は、生前整理アドバイザーとして、認知症・精神障害の方が、グループホームやサービス付き高齢者住宅へ入居する際、ゴミ屋敷寸前の状態の自宅を片付け、施設に持参するこれからの生活に必要なものをまとめるお手伝いをしています。
最初は目がうつろでやる気のないような方でも、これまでの人生についての会話を重ねていくことで、どんどん輝いていた自分を思い出し、片付けが終わる頃には、「ありがとう!ありがとう!」と涙を流しながら手を握って感謝してくれる方が少なくありません。
人は、生前整理をすることで、気持ちの整理がつき、前に歩き出せるようになります。また、誰かの役に立つことで、私自身も幸せを感じることができます。
生前整理は、自分もまわりも幸せにするのです。
生前整理を学んで、人生が変わりました。
何か社会貢献できることはないかと考えた末に、ゴミ屋敷だった空き家を片付け・リノベーションをして、多世代が利用できる地域のコミニティスペースをつくりました。
2018年4月には、「NPO法人ここから100」を立ち上げ、高齢者の居場所づくりや、「学ぶ・片づける・つなげる」に取り組み、高齢者のお悩みを行政や専門家におつなぎしています。「介護保険を使わない、元気な100歳をここから出そう!」というコンセプト・目標を掲げ、イベントを開催したり、アクティブシニア・プラチナ世代がいつまでも楽しく、笑顔でいられるコミニティスペースをつくるなど、さまざまな活動をおこなっています。
例えば、関西SDGsプラットホーム・世界を変えるための17の目標で、「障がい者の経済的自立支援の取り組み」「不要となったパソコン・小型家電類の寄付」「アフリカへ毛布の寄付・外国の子供たちに文具(鉛筆・消しゴム)を送る活動」など、お片づけから出たものをただ廃棄するのではなく、もので社会貢献できるしくみをつくっています。
また、新大阪周辺に外国人労働者が多く、災害などに遭ったときに顔の見えるコミュニティが必要ではないかと考え、外国人労働者向けのイベント「たこ焼きパーティ」を企画。2019年7月には、地域の公園にモンゴルゲルを建ててキャンドルナイトを開催しました。
さらに、2025年に大阪万博開催を目指し、大阪から日本を、外国人と一緒に生活できる国にしていきたいと考えています。
私は、生前整理を学ぶことで人生が面白くなり、輝き始めました。やり残しのない、後悔の少ない人生にしたいと思って活動しています。
一日でも早く生前整理をすることで、この先もっと輝く人生を送ることができます。
一緒にわくわくする「生き活」をしましょう!